院内報まなざし

若返る肌1

平成14年に導入したレーザーがシミやほくろの除去だけでなく脱毛や皮膚の新陳代謝亢進にも役立ち、皮膚を艶やかにするとわかって以来、スキンケア(肌の手入れ)の勉強が始まりました。同年、東大の吉村先生にトレチノイン療法を学び、更に、レーザーと相性がよいといわれるエンビロン・スキンケアシステムを導入しました。今年はコラーゲン、ボトックス注入法を学び、深いしわを治療できるようになりました。 おまけに、去る5月15日にはエンビロン・スキンケアシステムを提唱した南アフリカのフェルナンデス先生、5月30日にはオバジ・ニューダームシステムを提唱しているアメリカのオバジ先生、この世界最先端のお二人の先生に立て続けに会う機会を得たものですから、ますますスキンケアにのめり込むことになりました。そんな流れに、職員の努力が加わり、当院ではかなり最先端のスキンケアができるようになったのです。スキンケアによりシミがとれるばかりでなく毛穴が引き締まり、皮膚のたるみが改善され張りのある若々しい肌が得られます。ニキビ痕、アトピー、毛孔性角化症などにも有効です。

当院におけるスキンケア

当院で行っているスキンケアは、化粧品を使っての皮膚の手入れとは一線を画します。医師にしかできない方法で皮膚の深部から健全化し、若いころの皮膚を取り戻すことを目的とする医療行為です。皮膚を健全化する、それには@皮膚の新陳代謝を正常化するA新たな色素沈着を防ぐBこの良い状態を維持する この3点に注目です。皮膚の新陳代謝を正常化するためにはビタミンA誘導体であるトレチノインが、新たな色素沈着防止にはハイドロキノンが使われ、それが現段階で最も有効な方法です。しかし、この2つの薬品は医師以外は取り扱うことのできないので、一般の化粧品には含まれていません。良い状態を維持するためにはビタミンCの内服が有効です。ビタミンCは抗酸化作用を有し、紫外線によって皮膚がダメージを受けるのを防ぎます。ビタミンAとともに外用剤としても使うことができます。日光浴なんてご法度ですよ。いろいろな方法を使えるようになった当院ではまず肌の質を健康に保つためにエンビロン・スキンケアシステムをお勧めしています。経過によってはそれに吉村式トレチノイン療法やレーザーピーリングを追加します。エンビロン・スキンケアシステムの中にはビタミンA・C・Eなどの抗酸化ビタミン類のイオン・超音波導入やケミカルピーリングの選択肢もあります。シミの治療には更にビタミンCの内服を追加します。ところで、トレチノインは皮膚の新陳代謝を促進しますが、その過程で皮膚が赤くなったりかゆくなったりします。ここでたじろぐ患者さんが多いのですが、ちょっと待った!この反応が大きいほうが効果も大きいのです。エンビロンの中にもトレチノインよりは弱いのですがビタミンAが含まれているので、トレチノインと同様の反応が出ます。しかし、4〜6週間くらいで耐性ができ、健康な肌になっていきます。今度取り入れたオバジ・ニューダームシステムは、この反応を最大利用した強力な方法です。トレチノインをずっと使い続けるので、耐性ができるまでの6週間、特に最初の2週間は肌が赤くぼろぼろになります。しかし、6週間を1クールとして3クール目(18週)にはみずみずしい肌を得られるのです。世界に広まって約6年、日本に導入されてまだ1年少々ですが、もう鶴岡で使えるのです。もちろん山形県では「こんの整形外科」が初めてです。輸入手続きしていたトレチノインもアメリカから届きました。山形県の患者第1号は、もちろんこの私です。7月になれば赤いボロボロの顔を皆さんにお見せできると思います。オバジ先生の奥さんなんか、治療を始めた10年前よりも若くなっていました。2004年7月 今野 俊幸(まなさし83号より抜粋)

若返る肌2

前回、私自身がオバジ・ニューダームシステム(以下オバジと略します)を試すことをお知らせしました。8月31日現在で8週を終了しました。18週で一区切りですからまだ道半ばですが、すでにその劇的な効果を得ています。その経過をご報告します。その前に、オバジについて少し説明しておきましょう。オバジは赤ちゃんのように柔らかく張りのある肌、環境に対する抵抗力のある肌の獲得を目指しています。具体的には次のようなことが挙げられています。小じわや深いしわを目立たなくする。肌をなめらかにする。毛穴を目立たなくする。肌の弾力性を増す。肌の色が均一でバランスの良いものにする。皮脂の生成を正常にする。くすみ、シミを目立たなくする。肌の水分保持機能を向上させる。あらゆる外的刺激に対する肌の抵抗力を高める。オバジにおける肌の再生プロセスは基本的に@反応期(6週)A耐久期(6週)B完成期(6週)に分けられます。@反応期は肌の再生プロセスの初期段階で、古い角質が剥奪されて新しい細胞が表面に出てきます。この時期に色々な皮膚反応が出てきます。しかし次第に耐性ができ、反応が収まるとともに、肌に透明感やなめらかさが出てきます。A耐久期では新しい肌が表面に達し、肌の弾力性が戻って、しわが目立たなくなり、毛穴も小さくなり、ツルツルして肌の再生を実感できるようになります。薬剤に対する反応も治まってきます。B完成期は肌の再生の最終段階です。肌の抵抗力が増しトラブルが改善され、健康な肌になります。その後は良い状態を維持するためのプログラムに移ります。私の経過です。6月29日にオバジ開始。翌30日には早くもトレチノインによる赤み出現。7月1日には皮膚が剥奪してくると同時に肌に艶が出てきました。7月4日には頬のシミがとれてきて、3週目で頑固なシミも薄くなりました。9週に入った現在シミは殆どとれ、しわも浅くなっています。上下の瞼のたるみもとれてきたため、目に元気が出てきました。もちろん肌はツルツルです。傷の治りも早くなり、ニキビも出にくくなりました。皮膚の剥奪が少々あります。顔の赤みは少なくなりましたがまだ続いています。お風呂から出て少し経った時のようなほんのりピンク色です。それにしても5歳は若返った感じですね。妻にそう言われます。モニターの方々もみな良い経過です。定期的に顔写真を撮ってありますので、承諾を得た方のものだけ、関心のある方にお見せします。実物の私は診察室でどうぞ。触っても構いませんよ。既に何人かのご婦人に触られてしまいました。2004年9月 今野 俊幸(まなざし84号より抜粋)

最新!吉村式トレチノイン療法

トレチノインって?

『ビタミンA』の仲間です。皮膚の新陳代謝(通常健康な肌で28日間)を早める作用があります。しみの原因である増えすぎたメラニン色素をどんどん角質層に浮き上がらせ、落としてしまおう、というものです。

どんなふうに使うの?

洗顔後、しみに直接塗布します。しみからはみ出さないように綿棒や爪楊枝などを使って塗ります。トレチノインのほかに、ハイドロキノンという美白剤を使用します。これは、新しくメラニン色素を作らせない為に使います。この二つの軟膏を塗ったらいつも使っている物で良いので基礎化粧(化粧水、乳液、クリーム等)をしていただき、更にしっかりと日焼け止めを使う事が最大のポイントとなります。せっかく治療しても、再度、日光にあたってしまうと新しいしみになったり更に悪化してしまうことになるからです。それから、普段どおりにお化粧していただくと結構です。当院では基本的にそれを4週間続けていただきます。その後は、トレチノインを一旦休んでハイドロキノンだけ8週間塗布します。その繰り返しです。